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介護人メイルの、悔悟、改悟、開悟、戒護。
 
 
 
 
 
 

介護を超えて、悔悟のままに、「ジャック・ニコルソン」のごとく。

 
メイルは、散歩をするように心がけている。
間違いなく運動不足なことは歴然としているからである。
しかし、心のどこかで、のんびり散歩している場合じゃないだろという気持ちがあるので、早めに切り上げる。
性急になっているつもりはなかったが、世の中、考えている以上に甘くはなかった。
現状打破のためのプランAが、あえなく打ち砕かれたので、急いでプランBを実行しなければならない。
その気持ちが、いつのまにか歩調を早めさせ、仕事を早く完成させようとさせる。
こんなときほど、急がば回れだと百も承知しているはずなのに、人間いくつになっても成長の速度だけは速くはならないらしい。
メイルは、いやでも自嘲しつつも、ほぼ性癖になってしまっているすれ違う人たちの観察だけは怠らない。
一向に寒くならない師走、閑静な郊外の住宅街の裏道を、道を変えながら、少しでも坂のあるところを選んで、ゆらり、ゆらゆら…。
出遭う人のほとんどが、老人。
そして、一人ぽっち。
中には、杖をついた老人、片手と片足が動かない老人、手押し車を押す老人、小さな犬に引きずられるように歩いてる老人がいる。
考えてみれば、幼児を連れて散歩しているような若い女性が不思議なほど見つからない。
いつ何が起こるかわからない物騒な世の中を反映しているに違いない。
それでも、、メイルは、いつものように、母親を、父親を無理にでも引っ張り出して散歩させれば、もっともっと元気に長生きさせられたかもと後悔しながら、歩き続ける。
間違いなく2人とも、歩かなくなって見る見る衰え、そのことが母親の脳梗塞を誘発したに違いない。
後悔先に立たず…。
少なくとも、今、母親のように倒れるわけにはいかないと自分に必死に言い聞かせながら、懸命に足を動かし続ける。
ただし、足元の地面に視線を落とし、全神経を集中することを絶対忘れずに…。
そのために、メイルは真っ直ぐ歩くことがない。
もしかしたら、そのメイルの歩き方を見た人は、石蹴りをしながら歩いていると勘違いするかも知れない。
なぜそうなるのか、答えは簡単。
メイルは、死んでも犬の糞を踏みたくないからである。
これだけそこら中に、「犬の糞を自分で始末してください」、「犬の糞禁止」という立て札が、注意の看板があるのに、それを守らない飼い主がまだまだたくさんいるのである。
メイルは、偶然、そんなマナーのない飼い主を見つけると、容赦がない。
ある意味、危ない人になってしまう…。

メイルは、右に左に跳ねながら、大好きな映画「as good as it gets(恋愛小説家)」のジャック・ニコルソンを思い出し、さらに大胆に跳ね歩く。
ジャック・ニコルソンは、歩道のコンクリートの繋ぎ目を踏めなかった。
そのために、「Don't totch me(触るな)」と人とぶつかりながら、人混みを歩いていた。
そこだけは明らかにメイルとは違う。
メイルは、「失礼」、「ゴメンナサイ」と言いながら、人とぶつからないように必死で歩く。
雨の日など、自分の傘を大きく上に上げて避けるためにビショビショになる。
もしかすると、その違いが、62作も書き上げた売れっ子恋愛小説家のジャック・ニコルソンと売れない恋愛小説家のメイルの違いになる理由かも…。
とにかく、メイルは、このジャック・ニコルソンを初めて見た瞬間、自分を見るような錯覚を覚え苦笑いした。
レストランで、勝手に決めた自分の指定席を確保するために座っていたカップルを追い出す辛辣な皮肉トーク、持参するピクニックウエアのナイフとフォーク…。
メイルには到底できないが、いつか自分もそうなる気がして笑うしかなかった。
そして、やがて恋に落ちるヘレン・ハントと初めて親しく会話を交わすとき、子どもの病気の話を聞いて、いきなり「人間はみんな死ぬ。ボクもキミも、キミの息子も」と応え、「出て行け、二度とこの店にこないで」と言われたときには、戦慄した。
メイルは、まるで自分自身だと確信したからだった。
どうあれ、この映画は、紆余曲折を経て、やがてやっとの思いでヘレン・ハントと愛し合えるようになり、コンクリートの繋ぎ目を踏めるようになるというラブ・ストーリー。
蛇足ながら、このヘレン・ハントは出色…。
そして、ジャック・ニコルソンのヘレン・ハントへの告白の言葉が極めてクール。
強迫性神経症で精神分析医の治療を受けているジャック・ニコルソンが、またしても暴言を吐き、それに怒ったヘレン・ハントが言う「何か褒め言葉を言ってくれなきゃ許さない」。
するとジャック・ニコルソンが応える、「医者は薬を飲めば治ると言うが、薬が大嫌い。キミが訪ねてきて絶対にボクとは寝ないと言って帰った翌朝から、薬を飲み始めた。You make me wanna be better man(キミがボクをいい男になりたく思わせた)」…。
でも、メイルがこのジャック・ニコルソンを思い出す最大の理由は、この恋愛のことでも、隣人のゲイとの友情のことでもない。
実は、その隣人のゲイが飼っていたブス犬とのほのぼのとさせられる交流のことである。
メイルは、自分が飼っていた犬を散歩させるとき、ジャック・ニコルソンのように人の家の前、公共の場で、糞はもちろんオシッコさえさせなかった。
連れて歩いて「カワイイ犬ね」と出遭う人たちから言われるのはうれしくても、絶対自由にはさせなかった。
特に、ガールフレンドとデートのときは、ジャック・ニコルソン同様「You don't do anything(ジッとしてろ)!」と命令ばかりしていた。
そのせいか、いつのまにか父親としか散歩に行かなくなってしまった。
しまいには、メイルが作る食事さえ食べなくなってしまった。
そんなある日、父親が突然の腹痛で救急車で運ばれた。
あわててメイルが病院に駆けつけると、医者が「原因がわからない」と困り果てていた。
やむを得ず家に帰ると、愛犬の様子がオカシかった。
メイルが、獣医のところへ運んでいくと、犬が死に、父親が突然治った。
それは、ジャック・ニコルソンと逆だった。
そのことを思い出しながら、改めてメイルは、両親が年を取ったときこそ、犬を飼ってあげればよかったと後悔している。
そして、そうしなかったのは、愛犬の死というショックを与えたくなかったからだと言い訳している。
けれども、本当は、両親に介護が必要なことが起きるとか、両親が自分より先に死ぬとは考えたくなかったばかりか、
犬なんかとではなくきっと両親は自分と一緒に暮らしたかったのだと、メイルは、この期に及んで感じている。
どうあれ、初めてジャック・ニコルソンに世話をされることになった犬がエサを食べようとしない。その犬に向かってエサを食べなとばかりにジャック・ニコルソンが歌った「人生は前向きに生きよう。いつも前向きに生きよう」という言葉を思い浮かべ、メイルは明日も散歩しよう、できたらスキップでもしようと決意している。




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プロフィール
 

介護人 メイル・GIVEソン

Author:介護人 メイル・GIVEソン

介護なんて、「する側」も「される側」も現実であってほしくないと毎日願って過ごしている。
ある日突然、前ぶれもなく目の前にそれが現れた…。

東仙坊の、介護用ハンドルネーム「メイル・GIVEソン」が、好きな映画と対照して、お届けする介護ブログ。
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