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介護人メイルの、悔悟、改悟、開悟、戒護。
 
 
 
 
 
 

介護を超えて、悔悟のままに、どうしても「ジャック・ニコルソン」のごとく。

 
メイルは、今、ひどく困惑し、毎日が憂鬱。
周りの若者たちから「おっちゃん」と呼ばれても、瞬時に自分のことと認識できないほど…。
もちろん、それは自分の老いを全く意識していないから。
でも、その鈍い反応が、まるで認知症かのように思われるのか、「おっちゃん。何で返事しないだよ」と怒られている。
それでも、いっこうに気にしないどころか、そっと微笑んで、さらに気味悪がられている。
そうこうしながら、メイルは自分の孫かも知れないような若者たちとの接触を歓んでいる。
近ごろほとんどなかった直接的なヤリトリ、触れ合いの感触を楽しんでもいる。
正直、若者と面と向かっているとき、相手が自分をお年寄りと扱っているとは感じていない。
それこそが老いというものとすら、理解してもいない。
では、何が憂鬱なのかと言えば、実は、自分よりもはるかに年を取った人との接触。
メイルは、その人が一体どのくらい自分の死を覚悟しているかがわからないので、どう対処していいかわからなくなって、困惑してしまうのである。
とりわけ、その人の口から「今日は、お盆の入り。向こうから、きているのよ」とか、「もう向こうに帰ったわ」とか言われると、何と答えていいかわからない。
そんなときに、メイルがお世話になっている老婦人が転んでケガをし、車イス生活を始め、メイルは完全に困惑し切ってしまった。
その車イスでの後ろ姿に、否応なしに自分の母親のことを、昨日のことのように思い出さされて、すっかりブルー…。
「これは、お盆が終わっても、続くに違いない」と、思わず独り言をつぶやく始末。
そのせいか、自分の母親の死を、そして間もなくかも知れない自分の死を、毎日のように再確認させられてもいる。
とっくに死を観念し、「死はゼロ、何にもナシ、無!」と悟っているつもりだが、自分よりも年上の人にその自分の考えを強要できないことは、辛い。
そのために、メイルは自然と沈黙するしかなくなり、バランスを欠いてもいる。
「このままでは、自分の方が老人性鬱病になってしまうかも…」
メイルは、ときどき、大声を上げ、火事場のクソヂカラを発揮し、何か大きなモノを投げつけたくなる自分の衝動を覚え、危ない。
「もしかしたら、若いころは、カッコーの巣は自分から遠いところにあり、それなのに自分はそこにいるような気がしたのに、老いると自分の周りがいつのまにかカッコーの巣に変わってしまっていて、自分がそこにいることに気づかないのかも…」。
そう感じた途端、メイルは、突然、またしてもジャック・ニコルソンを思い出した。

映画「One flew over the cuckoo's nest(カッコーの巣の上で)」のジャック・ニコルソンは、当時のメイルにとって、自分以外の何者でもなかった。
ただし、メイルは、ジャック・ニコルソンと違って、暴行罪や淫行罪で逮捕され、刑務所や更生農場や精神病院に入ったりしたことはなかった。
それでも、20代の燃える若者らしく、メイルも世の中の矛盾と戦っていた。
とりわけ、自分の周りにあふれるジャック・ニコルソンが言うところの「chiken shits(チキンシット)」や「crap(クラップ)」と日夜懲りずに対決していた。
世の中に蔓延する事なかれ主義に反発し、何もかもが損得を基準にした「majority rule(多数決)」で構築された「schedule(決められた日課)」を、ジャック・ニコルソンのように「getting things off my chest(開襟してモノを言い)」、「we change the work detail(作業を変えよう)」、「A little change never hurt(ちょっとの変化は問題ない)」、「A little variety(ちょっとしたバラエティ)?」と変えようと努力していた。
そして、「But I tried,didn't I? Goddamn it! At least I did that(オレはやったぜ。少なくともやった)」とトライすることの重要性を説いていたが時間のムダでしかなかった。
その意味で、現実の一般社会の方が、はるかに「cuckoo's nest(カッコーの巣)」でしかなく、「whacko(ワッコー:キチガイ)」がたくさんいた。
実際、メイルも周りから一目置かれるジャック・ニコルソンのような存在だった。
ジャック・ニコルソンほど「belligerent(好戦的)」で、「Talked when unauthorized(勝手な発言が多い)」わけでも、「You've been resentful in attitude toward work in general.That you're lazy(課せられた労働を嫌う傾向がある)」わけでもなかったが、どんな相手にもひるむことはなかった。
それにしても、ジャック・ニコルソンと精神病院院長との会話は、メイルに強烈なインパクトを与えた。
更生労働逃れのために、精神が病んでいるフリをしているのでは?と疑う院長から、「Do you think there's anything wrong with your mind(自分の心に問題があるか)?」と尋ねられ、「Not a thing.I'm senseless,out of it,gone down the road,whacko.But no more, no less.That's it(全然。確かに愚かで、逸脱した道を行ってるかも知れないけど、それ以上でも、それ以下でもない) 」と答え、さらに、「I'm a goddamn marvel of modern science(オレは現代科学のナゾみたいな人間)」と答えたことには、深く感心させられていた。
もっと言うと、過去の犯罪歴を並べられたとき、「chewing gum in class(授業中のガム)」と茶化したこと。
逮捕理由の「statutory rape(淫行罪)」に対する見解も出色だった。
相手の少女が15歳であることを18歳と偽り、合意どころか向こうの方が歓んでいたうえ、もちろん「I practically had to take tosewing pants shut(実際のところ、自分がガマンすべきだったけど)」、15歳だとしても「When you get the little red beaver, right up there in front of you,I don't think it's crazy at all(目の前にあんなカワイイあそこを見せられたら、そうすることはクレージーじゃない)」という弁明は、男として肝に銘じていた。
それ以上に、ジャック・ニコルソンのように目立ち、世の中の安穏を脅かす存在は、社会から自然に抹殺されてしまうということを感じ、メイルは動揺させられた。
ともかく、我が国の状況は、ジャック・ニコルソンが殺しそうになったその精神病院の婦長のようでしかなかった。
話すことがセラピー、大勢で話すことが肝心…と無理やり話させては、その人間を縛り、one of themとその人間の魂を抜いて行く。
それは大きな流れから逸脱する者「peculiar(ぺキュリアー)」を決して許さないものだった。
社会は、「ain't honest(ズルく)」、「like a rigged game(八百長好き)」「something of a cunt(腐れ××××)」みたいなもので、出る杭は打たれるものだった。

やがて、ジャック・ニコルソンは仲間との相関関係を大切にしつつ、よせばいいのに実社会と何も変わらない精神病院の偽善と怠慢を追求し始める。
当然、『彼ら』はそれを潰しにかかる。
それを察知して、ジャック・ニコルソンは、そんな欺瞞の中で、deer(聴覚障害者)とdump(言語障害者)を装って強かに生き延びている大男インディアンのチーフと逃亡を図る。
そのチーフが、ジャック・ニコルソンに「You're a bit bigger than me(オマエはオレよりはるかにデカイ人間だ)」というシーンは、メイルをメチャクチャ感動させた。
そして、自分の父親の話を持ち出して、ジャック・ニコルソンに語った秘話は、メイルに世の中の正体を教えてくれた。
「My poppa's real big. He did like he pleased.That's why everybody worked on him(オヤジは本当にデカイ人間で、好きなようにやれた。だから、みんなから一目置かれた)」
「そんなオヤジが酒に溺れ、飲むより飲まれ始め、犬すら認識できなくなるほど衰弱したところを、They just work on him,the way they're working on you『彼ら』が今オマエにやっている方法で自然に始末した」…。
それなのに、その脱走計画は、ジャック・ニコルソン独特のやさしさゆえに失敗し、強制治療を施され廃人にされてしまう…。
すると、そんなジャック・ニコルソンを見るに忍びないと、チーフが殺して精神病院を抜け出すことになるのだが…。
メイルは、そのジャック・ニコルソンを観て、自分も『彼ら』にそうされるに違いないと独り戦慄していた。
そして、万一そんな場合、自分にはチーフがいないことに愕然としていた。
と同時に、ジャック・ニコルソンがチーフにバスケットボールを教えるシーンまで、思い出して苦笑い。
「Put the ball on the hole(ボールをホールに入れる)」って、言い得て妙では?

さて、メイルが、「カッコーの巣の上で」のジャック・ニコルソンを思い出したことには、他にも直接的な理由がある。
まるで、自分の母親を見ているような日々に、「どうしよう?」と苦悩し始めたとき、テレビで、刑務所の高齢受刑者の介護風景を観たせいである。
こともあろうに悪事を働いて刑務所に入っているくせに、受刑者仲間から手厚い介護を受けていたからで、中には認知症まで発症しているのに、きちんと面倒を看てもらっているのである。
「こ、こ、こんなのありかよ…でも、カッコーの巣にはならないよな」と思い出していたのである。














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プロフィール
 

介護人 メイル・GIVEソン

Author:介護人 メイル・GIVEソン

介護なんて、「する側」も「される側」も現実であってほしくないと毎日願って過ごしている。
ある日突然、前ぶれもなく目の前にそれが現れた…。

東仙坊の、介護用ハンドルネーム「メイル・GIVEソン」が、好きな映画と対照して、お届けする介護ブログ。
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