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介護人メイルの、悔悟、改悟、開悟、戒護。
 
 
 
 
 
 

介護を超えて、悔悟のままに、「トム・ハンクス」のごとく-2

 
メイルは、実は、毎日、怯えている。
暑い、寒い、脚がしびれる、ノドが乾燥していがらっぽい…。
その具合の悪さの症状が、階下のお世話になっている老婦人と、ほとんど変わらないからである。
気温変化に、体温調整がスムーズにできないのは、間違いなく本質的な衰弱の証し…。
そのうえ、車イス、介護イス、介護ベッドと、いつのまにかどんどん増えてくる最新の介護用品を見ているだけで、ますます元気がなくなってきている。
そのせいなのかも知れない。

メイルは、映画「Joe wersus the Volcano(ジョー、満月の島に行く)」のトム・ハンクスを思い出すことが、なぜか増えている。
と同時に、その映画でお気に入りのメグ・ライアンが1人3役で演じる3種類の女性を、それぞれに思い出している。
余命6ヵ月と宣告されて、トム・ハンクスがその不気味な会社に戻ると、早速、「昼食で3時間か?」と嫌味を言ってくる上司。
そこに展示されていた義手と腕相撲し、それをはぎ取る。
そして、それで上司の頭をポンポン叩きながら「友だちはどこ?」と言った後、トム・ハンクスは「辞める」とおもむろに言ってから、「この職場で4年半でやったことは、6ヶ月分の仕事だった。残りの4年間はムダだった。ムダにした4年間は、もう戻らない」と叫ぶ。
それから、退社するとき、ついに上司にトム・ハンクスが堪忍袋の緒を切らす。
「This life...life.What a joke(この人生、人生は何とジョークなのか)」
「This situation,this room...(この状況、この部屋…)」
「You look terrible.You look like a bag of shit stuffed in a cheap suit.But no one could look good under these zombie lights.(アンタのヒドイ雰囲気。まるで、安物スーツに詰められたクソ袋みたいだ。もっとも、このゾンビ明かりの下じゃ、誰もがそう見えるが)」
「For $300 a week I've lived in this sink.This used rubber.(たった週給300ドルのためにオレはこの流し台の中で、使ったコンドームの中で生きたんだ)」
「Watch it.There's a woman here!(気をつけろ。女性がここにいるんだぞ!)」
「Don't you think I know that? Don't you think I'm aware there's a woman here? I can smell her like a flower. I can taste her like sugar on my tongue.I'm 20 feet away, I can hear the fabric of her dress when she moves in her chair.But I haven't done anythig about it.I go every day not doing,not saying,not taking the chance for $300 a week.(知らないとでも? 女性に気づかないとでも? オレは花のように彼女の匂いを感じるし、舌の上の砂糖のように彼女の味を感じるし、20フィート離れていても椅子で彼女が動くときその服のぬ布が擦れる音を聞いている。それなのに、何もしなかった。毎日、何もしないで、何も言わないで、週給300ドルのためにチャンスをフイにしていた)」
メイルには、このトム・ハンクスの気持ちが痛いほどわかる。
「Why,I ask myself, have I put up with you? I cna't imagine.But I know .It's fear.Yellow,freaking fear.I've been too afraid to live my life,so I sold it to you for $300 dollars a week! You're Lucky I don't kill you! You're lucky I don't rip your throat out!But I'm not going to!Maybe you're not so lucky,because I'm going to leave you here.What could be worse than that?(なぜ、アンタになんかじっとガマンしたのか、自分でも想像ができない。けれでも、今ならわかる。恐怖だ。意気地ナシならではの異常な恐怖だ。あまりにも自分の人生を恐れ過ぎていたから、週給300ドルで自分の人生をアンタに売っていたんだ。アンタは殺されなかっただけでもラッキーなんだぞ! ノドを切り裂かれなかっただけでもラッキーなんだぞ! しかし、オレはそうしないけど。その意味で、そんなにラッキーでもないかも。なぜなら、アンタはここに置き去りにされるんだ。それ以上最悪なこともないんじゃないか?)」
メイルは、トム・ハンクスとは違い、若いころには、一切の妥協もしなかったのだが…。
この後の一人目のメグ・ライアンが「食べ物があるだけで満足する犬のイメージ」と演じる可愛いディーディーとの初デートの会話にも目を見張った。
「Who am I? That's the real question.Who am I? Who are you?」
「If you want to understand the universe,embrace it,the door is you(宇宙を理解しようと思ったら、それを悟ろうとしたら、その理解への扉はキミだ)」
「You're really intence(アナタは本当に情熱家)」
「Am I? I guess I am, I was」
「What do you mean?」
「In the biginning I was full of piss and vinegar.Nothing got me dowan.I wanted to know(最初のうちは元気いっぱいで、何も失望することがなかった。知りたがった)」
「You wanted to know what?」
「Everything! But then I had some experiences.」
メイルは、今の介護問題を克服するのに、そんな楽観がいると思うのだが…。
実際、トム・ハンクスもメグ・ライアンにそれを指摘される。
「Now... How do you feel?」
「I feel great」
「See? You never feel great」
「No,I never do!」
「What's funny?」
「I feel great. That's very funny!」
「Where are you?」
「I'm right here!」
「I wish I was wher you are(ワタシもアナタのいるところに行きたいわ)」
メイルは、こんな答え方をする女性を長い間探していた。
もっともこの後、トム・ハンクスが正直に「もうすぐ死ぬ。生きていることに感謝している」とディーディーに言うと、ディーディーは「どうしていいかわからないわ。ごめんなさい」と途中で逃げ出してしまったのだが…。




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介護を超えて、悔悟のままに、「トム・ハンクス」のごとく-1

 
メイルは、日に日にお世話になっている老婦人が衰弱し、そのご家族の方々がやむを得ず協力し合って、その介護体制を懸命に築いているのを、無様に遠くから見守っている。
そして、今さらながら自分の両親への介護の仕方を思い出しては、深く溜息している。
特に、突然、母親が介護度5になってしまったときの自分の心模様を思い出しては、改めて悔悟している。
人間、誰しも同じだと思うが、メイルも、まず母親以上に、その現実を受け入れなかった。
それでもなお、悲観したくなかったからだった。
あれだけ口うるさかった母親が…、あれだけ聡明で厳格だった母親が…、あれだけプライドが高く世間体を気にしていた母親が…、あれだけ周りの人が死ぬたびに自由が利かなくなるぐらいなら死んだ方がマシと言っていた母親が…、自分の意思に反し脳梗塞で倒れ自殺することもできない状態になってしまうなんて…。
人間の最低限の生きる営みであるはずの口でモノを食べることすらできなくなってしまうなんて…。
人間の諦めへの口ずさみであるはずのグチ一つ言えなくなってしまうなんて…。
まもなく自分にやってくるだろう死を見つめ続け、目を瞑ろうとしなかったメイルの母親にとって、最後の呼吸させられていた5年半は、まさに生き地獄だったはず。
それなのに、母親以上に諦められなかったメイルは、介護という名の下で、さらにそんな母親を火であぶり、ムチで打っていた。
東にクラシック音楽を聴かせれば脳が再生するという話があれば、母親の耳からヘッドセットを外させず、西に指をタクティール・マッサージすればコミュニケーションできるという話があれば、唯一動く左手を離さず、ありとあらゆる拷問をしていた。
それもまた、家族ならではの欲と言えば許されるのかも知れないが、自分の中にある母親像が崩壊してしまうことを恐れただけのカルマだったかもと考えると、やはり悔悟するだけ。
その反省があるからかも知れない。
メイルは、ふと「手間を取らせてる家族に悪い」とたびたび口にする老婦人に、よせばいいのに亡くなった両親の写真を見せて、「いいじゃないですか…そうしなくていい、とか、あれをして、とか、のんきに家族の世話になれるんですから。ボクの母親みたいになったら、それすらできなくなっちゃいますよ。そうするしかないって、観念しちゃったらいかがですか? 楽観的に感謝しながら」と言ってしまった。
確かに、家族に下の世話をさせることは心苦しく、不本意に違いない。
けれども、家族じゃない人にそれをやってもらうよりは、メチャクチャいいはず。
もっとも、それは間違いなく家族に重い負担を強いることにもなるのだが…。
では、その心苦しさから、どうしたら解放されるのか?
逆に、家族の方は、どこでその線を引けばいいのか?
単に、老いによる衰弱がひどくなったときなのか? あるいは、メイルの母親のような重い病気になったときなのか?
人間の尊厳に関わることだから、かなり難しいはず。
どうあれ、これだけ誰もが長寿になってくると、その線引きもますます渾沌としてきているのは、事実。
その意味で、認知症って、老人の心苦しさや死と折り合えるための救済なのかも…。

どちらにしても、メイルは、本当は老婦人に「90歳にもなって、自分の生を意識できたり、自分で辛い思いや歯痒い思いを感じながら、家族とやり取りできるだけで、メチャクチャ幸運じゃないですか」と言ってやりたいと感じて、映画「Joe wersus the Volcano(ジョー、満月の島に行く)」のトム・ハンクスを思い出した。
この荒唐無稽なラブコメディ、そうでなくても十分、スティーブン・スピルバーグがトータルプロデュースしているだけあって、要所要所にメチャクチャ煌く部分を持っている。
かつて勇敢に火の中から子どもを助けた消防士ヒーローだったトム・ハンクスは、そのたび重なる生命の危機に直面した経験がトラウマになって、死への恐怖が積み重なり、8年間働いた消防士を辞め、今は、「American Panascope(アメリカ医療器具)」という不気味な会社の直腸探り針部門広告宣伝部の資料責任者として働き、4年目を迎えている。
けれども、その暗いムードの会社のせいか、ますます体調を崩し、毎日、やる気の起きない、かったるくてだるい生活を送っている。
そんな精気のないトム・ハンクスを見て、そこら中にいる典型的イヤな課長がウダウダと文句ばかり…。
特に、自分の責任が問われそうになるとムキになって、トム・ハンクスに挑みかかる。
「But youre not flexible.you're inflexible(キミは融通が利かない)」
「I don't feel inflexible(そう感じない)」
「You're inflexible,totally(融通は全く利かない)」
メイルは、思わず笑う「今、日本中でこんな光景が見られるに違いない」…。
トム・ハンクスは、「自分が仕事しないせいだろ!」と言いたいが、グッとガマンして返す。
「I don't feel good(調子が悪い)」
「You think I feel good.Nobody feels good.After childhood,it's a fact of life.I feel rotten.So what?I don't let it bother me or interfere with my job(オレが調子いいと思うか! 調子いいヤツなど一人もいない。子ども時代を終えたら、それが人生の事実だ。少しぐらい具合が悪くたって、何だ。仕事はそんな甘いもんじゃない)」
「What do you want from me?(何を望むのか?)」
「You're like a child(キミは子どものようだ)」
そんなトム・ハンクスに、ついに医者が最終診断を下す。
「いろいろな検査をした結果、キミが訴える症状に関しては、何の問題もない。正常そのものだ。しかし、健康に過敏すぎて、めずらしい『brain cloud(脳の雲)』という不治の病にかかっていて、後、余命6ヵ月だ」
「What'll I do?(何をすればいい?)」
「If you have any savngs,you might think about taking a trip.A vacation(もし貯金があったら旅行でもでも考えたら、一つのバケーションを)」
「I have no savings.I spent everything I had on doctors(貯金なんかない。みんな医者代に消えた)」
メイルも、老婦人も、まるでトム・ハンクスのような現状である。
「What am I going to do?(どうすればいい?)」
「You have some time left.You have some life left.Live it well(時間が残ってる。命が残ってる。それを精一杯生きること)」
そして、その医者の所を出たトム・ハンクスは、外で偶然通りかかった、大きな犬を連れた正装の老婦人と出遭う。
すると、黙ってその犬を抱き抱え、その老婦人も抱擁する…。
さらに、今まで靴で踏みにじっていたコンクリートの間に咲く一輪の花を、手でそっと元に戻す。
メイルは、思う。
自分も、階下のお世話になっている老婦人も、それこそ人間誰しも、このときのトム・ハンクスのように絶望し、そこから覚悟して、精一杯生きるしかないのでは?と…。

I have some time left.
I have some life left.
Live it well.


これは、「生老病死」の四大苦を克服するための人間の座右の銘になると思わないか?




 
 
 
 
 
 
プロフィール
 

介護人 メイル・GIVEソン

Author:介護人 メイル・GIVEソン

介護なんて、「する側」も「される側」も現実であってほしくないと毎日願って過ごしている。
ある日突然、前ぶれもなく目の前にそれが現れた…。

東仙坊の、介護用ハンドルネーム「メイル・GIVEソン」が、好きな映画と対照して、お届けする介護ブログ。
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