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介護人メイルの、悔悟、改悟、開悟、戒護。
 
 
 
 
 
 

介護を超えて、悔悟のままに、「ケビン・クライン」のごとく。

 
メイルは、なんとも言えない焦燥感を覚えながら、毎日を過ごしている。
それも、まるで因果応報かのように、いや、デジャブかのように、失くした自分の実家のように、古くて大きな家に独りで…。
言われたように朝、雨戸を開け、夕方、雨戸を閉めながら…。
それだけは、実家にいたときですら、やったことがなかったのに…。
メイルは実家を手放すことに、一切のためらいもなかった。
築半世紀以上も経った実家は、メイルの両親が二人で必死に働いて建てたものだった。
それゆえ、二人の介護施設入居のために売りさばくのは当然だと決めつけていた。
メイルの両親は、ことあるごとに、自分の家を持とうとしないメイルに、「この家はオマエが住みなさい」と言っていたが、メイルには全くその気がなかったからだった。
ただ、想定したほどの値段で売れなかったために、それなりの介護施設にしか入れられなかったことは、今でも悔悟している。
どうあれ、メイルは、家にも、墓にも、一切の執着も興味もないのは事実。
それなのに、こうしてお世話になっている老婦人の家を、独りで守ることになるとは、ほんとうに人生とは皮肉なもの。
それも、間違いなく老婦人にとって、人生そのもののような家だから、何一ついじることもできずに…。
そうしながら、メイルは「一日も早く元気で家に戻ってきて…」と祈っているのだが…。

そんなせいか、メイルは、映画「Life as a house(家のような人生)」のケビン・クラインのことばかり思い出している。
ケビン・クラインは、10年前に離婚し、親から譲られた大洋を望む崖の淵のボロ家に独りで住んでいる。
週末にしか会わない息子は、顔中にピアスをつけ、シンナー、マリワナ、ドラッグ三昧の自堕落な生活を送っていて、死人同然…。
そんなある日、CGを使えず建築パースを昔ながらに手作りしているケビン・クラインは、突然、会社を首になる。
その帰り、倒れて病院に搬送され、余命4ヵ月と宣告される。
そのときの看護師との会話は、メイルにとっても他人事ではない。
「I have not been touched in years(何年も人に触れられていない)」
「Really? No, I mean, not a friend? Your mother? People have to be touched.Everyone gets touched by somebody they love(ほんと? だって、友だちじゃなくたって、母親だっているじゃない? 人は触れられたいものよ。誰だって誰か愛する人に触れられるわ)」
「I know. It's weird,Isn't it?(わかってる。ヘンか?)」
………「I'm scared(コワい)」。
そこで、ケビン・クラインは、10年前を最後に触ったこともない息子と家を建て直すことを決意する。
けれども、10年間放っておかれたと感じている息子との溝は簡単に埋まらない。
それこそ、息子は「You haven't been happy in 10 years(アンタは10年間ハッピーだったのかい)?」とまで、ケビン・クラインに尋ねる始末。
メイルは、センシティブな少年というものは、愛する母親が幸せかどうかの視線ですべてのモノゴトを見るものと改めて認識させられたのだが…。
どちらにしても、死を覚悟したケビン・クラインの決意は揺るがない。
それでいて、息子の覚醒を決して焦ったり、無理強いしたりはしない。
なぜなら、息子がまるで自分のようであることを十分に自覚しているからである。
それにしても、死を宣告されなければ、海を照らす朝日や波の音など小さなことに感動しなくなってしまっている人間の何と浅はかなことよ…。
とにかく、まるで自分のような息子と対峙するケビン・クラインには、悲壮感が漂う。
そうこうしているうちに、自分と自分の父親とのことを告白することが、息子の心を開くことになると学習する。
とりわけ、初めての父子の真っ向からの対決は、印象的…。
「My dady used to play this game. I never really understood what it was until after he was gone.The game was to make me smaller than he was.Smaller,always smaller.No matter what.He could be almost invisible as a human being,but...I still had to be smaller.……I never won the game.And if he couldn't make me smaller with words...I won't ever hit you.Ever.I don't want you smaller.I want you to be happy.You're not.Not here with me. Not at home with your mother.Not alone.Not anywhere.You're what I was most of my life.I see it in your eyes,in your sleep,in your answer to everything.You're barely alive(オヤジのゲームは、親父が死んだ後でも理解できないほどのものだった。そのゲームは、オレを何が何でもオヤジより小さな人間にしようというものだった。ありとあらゆることで、ほとんど人間として無視されているオヤジよりもオレが小さな人間でなければ許されなかった。当然、オレはそのゲームに勝てなかった。オヤジは言葉でオレを小さくできないときは暴力を使った。だから、オレは絶対にオマエには手を挙げない。絶対に。オレはオマエを小さな人間になどしたくない。オレはオマエを幸せにしてやりたい。なのに、オマエはどうだ。オレとここにいようが、ママと家にいようが、独りでいようが、どこにいようが、オマエはオレの人生の大半と同じくらい幸せじゃない。それはオマエを見てりゃわかる、寝ている姿を見ればわかる、何に対してもの反応の仕方でわかる。オマエはほとんど生きていないも同然だ)……人間の偉大な点は、少しずつ変わることだ。それも自分でそれと気づかずに変わってしまってから、そのことに初めて気づくもの。Make you something different in an instant.It happened to me. Build this house with me(だが、突然違う何かがオマエを変えることもある。オレがそうなったんだから。この家をオレと一緒に建てよう)」。
ケビン・クラインの必死な説得は、ようやく功を奏す。
「この家はオヤジがオレの名義にしたときから嫌いだった。25年間住んでいる家を憎み、自分自身を憎んだ。終止符を打つ。オレのものと誇れる何かを作ってお前に残したい」
「ムダだよ。オレはいらない」
「いいさ。好きに処分しろ。だけど、一緒に建てたことだけは忘れるな」
「オヤジへの復讐だろ? 笑わせんな」
「いい気分だぞ」と、2人での共同での作業が始まる。

そうしているうちに、ある夜、顔中のピアスを外した息子から、ケビン・クラインに声がかかる。
「鎮痛剤をもらったよ」
「知ってる。どうして?」
「I like how it feels not to feel(感じないっていうことをどのくらい感じられるかって知りたかったから)」
「I know the feeling(その感じはわかる)」
「How do you become something that you're not(どうやったら突然そうじゃない何かになれるのか)?」
「What would you like to be(何になりたいんだ)?」
「What I'm not(今の自分じゃないもの)」
「What are you now?」
「I'm nothing」
「It's not true」
「You see, that's the thing though,is that...I am what I say I am(自分のことは自分でわかる)」
この子どもの思い込みを崩すのは簡単じゃない。
そこで、ケビン・クラインは再びオヤジの、さらにオフクロの話をする。
「一度オヤジの頭に銃を突きつけた。肉の焼き方が足りないとオフクロを怒鳴って、伸びちまった。オレは銃を持ってきてオヤジの耳に銃口を押しつけた。だが、怖気づいた…」
「何か言った?」
「オフクロを思い出していた。オヤジを捨てず、サングラスをかけ夕食の用意をしていた、夜で真っ暗だったのに。みんな気づかないフリをしてた」
「出てきゃいいのに」
「オヤジを恐れてもいたが、離れるのもきっと怖かったんだ」
「オレなら殺す」
「そう、殺していれば、オヤジは酔っ払い運転をせず、オフクロは事故で死ぬこともなかった………You'd have liked your grandomother.She was pretty cool(きっとオフクロを好きになったよ。とってもカッコよかったから」
「You ever wished you'd done it(殺しておけばよかった)?」
「What? Killed my dad(オヤジを殺す)? I loved him too much」
「It's weird(ヘンだよ)」
この会話こそ、親子愛の本質をついていると、メイルは確信している。
けれども、家に全然興味のないメイルにとって、なぜそれが父子で家を建てることなのか?と、今でも納得できずにいる。
それこそ、二人で崖の淵に座り、With every crash of every wave, we hear something now.We never listened before.Almost finshed(それぞれの波のそれぞれに砕ける音を聴きながら、今までに聴いたことのなかった、生きていることの何かを感じ、それがほとんど終わりに近いことを覚悟する)方が、いいと思うのだが…







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プロフィール
 

介護人 メイル・GIVEソン

Author:介護人 メイル・GIVEソン

介護なんて、「する側」も「される側」も現実であってほしくないと毎日願って過ごしている。
ある日突然、前ぶれもなく目の前にそれが現れた…。

東仙坊の、介護用ハンドルネーム「メイル・GIVEソン」が、好きな映画と対照して、お届けする介護ブログ。
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