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介護人メイルの、悔悟、改悟、開悟、戒護。
 
 
 
 
 
 

介護を超えて、悔悟のままに、「ハリソン・フォード」のごとく。

 
メイルは、最近、なぜか夢を見る自分に驚いている。
正確には、夢は毎日見ていて記憶できるかどうかの問題だから、目覚めても覚えていることに驚いている。
おそらく異常なまでの睡眠不足と疲労困憊のために、眠りが浅いせいなのかも知れない。
それにしても、認知症気味に記憶力が悪くなっているのに、やはり夢は摩訶不思議。
今、どう必死に思い浮かべても、顔はもちろん、その名前さえも思い出せない人たちの顔が、信じられないくらいはっきり出てくるから、実にオモシロい。
なかでも、出演過多なほど登場してくる亡くなった両親の顔が鮮明なことには、いくら後で夢とわかっても、ビックリさせられる。
それこそ、2人が健在だったときには、夢に出てこなかったばかりか、親不孝なことに、あまり思い出したことさえなかった。
その意味でも、やはり摩訶不思議。
しかも、ときどき、まるで父親のように寝ぼけるから、不気味。
もっとも、父親の寝ぼける原因は、メイルと違って明白だった。
それだって、「参った。戦争で殺した相手の顔顏が、連日、夢に出てくる…」と、晩年、父親が思い余ってメイルに吐露したことで知っただけだった。
それでも、戦争を体験したことがないメイルにとっては、うなされたように寝ぼける父親を見るたび、ただただ鳥肌を立てていただけ。
よくよく考えれば、戦争という極めて理不尽かつ凄惨な状況だったにしろ、人を殺してしまったことへの悔悟の念、自責の念は想像を絶するものがあったに違いない。
それこそが、人間の人間たる所以。
今なら、そんな父親が典型的なPTSDだったに違いないと、メイルにも簡単に推察できるのだが…。
では、なぜそんな両親の夢を今たびたび見るのか?
メイルには、その理由に心当たりがある。
確か、阪神大震災が発生したときだった。
衝撃的な神戸の街の崩壊の様子をテレビで観ながら、メイルの母親が言った。
「イヤだイヤだ。怖いね…。私たちはあんな戦争を経験したんだから、こんな天災は勘弁して欲しいわね」
「ああ、戦争より願い下げだね。こういう天災は、突然で見境ないくて、覚悟するヒマがないからな」
めずらしくメイルの父親がすぐ同調した。
それに、メイルが茶々を入れた。
「大丈夫さ。心配ないよ。ボクみたいな奇跡の息子を持ったんだから…。ボクがいる限り、起こると言われている大地震は起きないよ。どんな人間も、その一生で戦争か大災害に遭遇するって言われているけど、奇跡的にボクは免れるから…」
「メイル。そういうことを言ってると、バチが当たるわよ。自然って、そういうものよ」
それを受けて、母親はそう言いながら、なんともいえない眼差しをした。
そして、父親も、同じ眼差しをしていた。
メイルは、昨年、東日本大震災が発生したとき、まず思い出したのがそれだった。
というのも、2人は念願通り、東日本大震災前に他界したのに、メイルは、毎日、あたかも戦争のように覚悟させられながら、新たな大地震の恐怖に脅えさせられているのだから。
「あのときの2人の眼差しの意味は…」

メイルは、それで思い浮かべるのが、映画「Crossing Over(人種がクロスオーバーするとき)」のハリソン・フォード。
「正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官」という邦題がついていることでも一目瞭然なように、不法移民が跋扈するロサンゼルスで、文字通り「ice(氷)」のようにの不法移民を取り締まる、年老いた彼らに同情的な移民税関捜査局(I.C.E.)捜査官。
自由の国アメリカに最後の夢を託そうとして、命がけでうごめく雑多な人種の人々。
映画は、メキシコ、オーストラリア、イラン、韓国、バングラデシュからアメリカを目指してやってきた人間たちの、それぞれの事情と厳しい現実がクロスオーバーする物語。
ハリソン・フォードは、「国家の正義」と「個人の幸福」までがクロスオーバーする現実の中で、妻や娘にも三行半を突き付けられた孤独な男。
実際、アメリカには1,100万人以上の不法移民がいて、それは増え続けているというから、壮絶。
ただし、それでもさすがアメリカという点がある。
リッチだったり、プリティだったり、タレントがあったりすれば、すぐに例外。
メイル的には、母国の将来を誰も信じていないとさえいわれる韓国洗濯屋ファミリーの、アメリカでの生活にかける執念はメチャクチャ鮮烈。
こちらも、さすが…。
どうあれ、不法移民でも、アメリカで子どもを生めばその子は自動的にアメリカ人になれるという出生地主義は、太っ腹。
さらに、グリーンカード(永住権)もあり、その取得方法も、アメリカ人と結婚するとか、宗教関係者であるとか、高額な投資や事業で貢献したとか、スポーツや芸術の才能があるとかでも優遇されるところは、やっぱりアメリカン。
では、メイルは、なぜハリソン・フォードを思い出したのか?
とにかく、すぐそのじっと黙って凝視する視線が、ときにはメイル父親に、ときにはメイルの母親にソックリだから…。
なかでも、縫製工場での摘発で、メキシコから不法入国してきた若い母親との視線と視線のクロスオーバーは、メイルの父親と母親とのやり取りのように思え、戦慄だった。
さすがのメイルもスペイン語はダメ。
「ダメだ」
「お願い」
「よせ。こんなことまでできない」
「助けて」
「……」
「……」
その若い母親は、息子を預けてある女に金を払って、息子を取り戻しておいて、とハリソン・フォードに懇願し、後は目で訴え続ける。
そこへ、若い同僚が茶々を入れる。
「Muy Bonita, you get her number(電話番号聞いた?)」
「I smell why(誓約書で釈放?)」
「He got pretty one fast,sometimes not pretty one(美人には甘いんだ。ときにはブスにも)」
と…。
すると、ハリソン・フォードは預かった息子のアドレスの紙を投げ捨て、
「OK? Knocked you fuck off(黙れ、若造)」
それなのに、後でそっとその紙を拾いに行き、その息子を取り戻し、着替えさせ、わざわざメキシコの実家まで送る。
すると、メキシコに強制送還されていた母親が「息子を取り返す!」と再びロスアンジェルスに向かって、出発してしまっていた。
あわてて、その母親を探し回るが、見つからない。
やがて、国境で、その母親が悪質移民業者に殺されていた。
再び、その形見となったポーチを持って、メキシコへ行くハリソン・フォード。
それを見たときの祖母と祖父の表情…。
メイルは、はっきりと思い出す。
このときのハリソン・フォードが自分で、その祖父母が自分の両親になって、夢に出てきているということを。
とにかく、ほとんどセリフのないハリソン・フォードは、基本的にメイルの父親のようにしか思えなくて、恐い。





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プロフィール
 

介護人 メイル・GIVEソン

Author:介護人 メイル・GIVEソン

介護なんて、「する側」も「される側」も現実であってほしくないと毎日願って過ごしている。
ある日突然、前ぶれもなく目の前にそれが現れた…。

東仙坊の、介護用ハンドルネーム「メイル・GIVEソン」が、好きな映画と対照して、お届けする介護ブログ。
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